A/D・D/Aコンバータについて

A/D・D/Aコンバータと言われると難しく聞こえますが、けっこう身近なところでよく使われています。
音楽制作においてのA/D・D/Aコンバータは音質に直結してますので、ぜひ知っておいて下さい。
目次

アナログとデジタル

A/D・D/Aコンバータについて話す前に、アナログとデジタルについて少しふれてみたいと思います。

オーディオには、アナログ信号とデジタル信号があります。
私たちが普段から耳で得られる音の情報はアナログです。
人は、音(空気の振動)が鼓膜に伝わり音と認識しています。

  • 友達や家族と話している声
  • スピーカーやヘッドフォンで聞いている音

アナログとデジタルを言葉で説明すると、

  • アナログ:連続した量で1つ2つと区切って数えられない
  • デジタル:離散値、連続していない1つ2つと区切って数えられる

少しわかりにくいと思いますので、例えるならば
アナログは坂道、デジタルは階段とでもいいましょうか。(イメージです。)

坂道の場合は連続していますので、どのような歩幅でも進めます(連続した量)が、
階段は、1段、2段と区切られたところを進む(区切られた量)ことになります。

その他にもよく例えられる例として、アナログ時計(秒針なし)とデジタル時計があります。
デジタル時計は、時間を数値できっちりと表記してくれます。(12時15分12秒)
アナログ時計(秒針なし)は、針で時間を表しているので、『ん~だいたい12時15分くらい、もうすぐ16分になるかな~』
といくらでも細かく伝えられるのであいまいな時間になってしまします。

図で表すとこのようなイメージです(アナログ:赤 デジタル:黄色)

  • アナログ:アナログは、連続した量
  • デジタル:デジタルは、区切られた量

というイメージは湧いてきたでしょうか!

A/D・D/Aコンバータとは

A/D・D/Aコンバータとはそれぞれ、IC(集積回路)の機能をいいますが、音楽の世界では回路だけではなく、その機能を持った機器を指して使われることが多いです。

  • A/Dコンバータ:Analog to Digital Converterの略で、アナログからデジタルへの変換器
  • D/Aコンバータ:Digital to Analog Converterの略で、デジタルからアナログへの変換器

要は、逆のことを行なっているわけです。

マイクやギターなどの音をパソコンに取り込む場合は、アナログ(電気信号)をデジタル信号に変換してあげなければなりません。
それとは、逆にCDやiPad、PCの音源は、デジタルデータですので、デジタルをアナログ(電気信号)に変換してスピーカーで再生します。
このやり取りのをしているのが、A/D・D/Aコンバータというわけです。
アナログとデジタルの仲介役みたいな存在です。

A/D・D/A コンバータの役割

音は空気の振動ですが、この振動をマイクなどで電気信号に変換します。
ここまでは、まだアナログ信号のくくりです。

コンピュータ(パソコン)は、アナログ信号(電気信号)をそのままでは認識できませんので、パソコンのわかるデジタル信号に変換しなくてはなりません。

デジタルでは、アナログ信号を数値で符号化して表しています。

連続的なアナログの波形を一定の間隔で分割して、デジタル信号(0と1だけ)に変換します。
コンピューターでは、2進法(すべて0と1の2つの数字の組み合わせで表現)で計算をします。
電気が流れないオフのときを『0』、流れるオンのときを『1』
『0』と『1』のみでも桁数を増やしていけばいくらでも表現できるのですね。

A/D・D/Aコンバータがなければ、コンピュータはアナログ信号を認識できないのです。

DTMで使用するオーディオインターフェースは、通常 『プリアンプ』 と 『A/D・D/Aコンバータ』 が一体型になっているものが多いですが、
プロのレコーディングスタジオやマスタリングスタジオでは、A/D・D/Aコンバータだけでも50万円〜100万円以上のクラスのものになります。

アナログ、デジタル双方の変換に関与しているわけですから、その精度は非常に重要になり音質に直結してくるとはこのためです。

音を録音する際にアナログをデジタルに変換する過程として

  • サンプリングレート(サンプリング周波数)
  • 量子化ビット数

があります。
聞いたことがあるのではないでしょうか。

簡単に説明すると、
サンプリングレート(標本化):1秒間に音を何分割して採取するか(下図の黄色 横方向)
量子化ビット数:分割したデータごとにどれだけの容量を与えるか(下図の黄色 縦方向)

サンプリングレート・量子化ビット数は、数値が増えるほど情報量が増え(黄色のマスが細かるなる)高音質で録音ができます。

詳しくは、
サンプリングレート・量子化ビット数 →
を参考にしてみてください。

DTMをする上でこれを理解することは非常に大切です。
知らなくても大丈夫ですが、行く先々で出会うので理解しておきましょう。

宅録環境で使用できるオーディオインターフェースも、近年では低価格のものでも精度の高いものが増えてきました。
これらを理解して自分の制作スタイルにあった機材を選ぶことはとても大切です。

A/D・D/A の重要性を感じて頂ければ幸いです!

Posted by Prop-sound